3月30日から4月4日まで、米国のワシントンD.Cを訪問してきました。立憲フォーラムの国際チームの訪米団の一員としての仕事です。
目的は、オバマ大統領訪日前に、安倍首相の超国粋主義的な政治姿勢とは異なる理性とモラル及び立憲主義を尊重する国会議員が日本に存在すること、同時に、立憲フォーラムとして取り組んできた憲法に関する立憲主義及び安全保障問題に加え、元捕虜(POW)やシベリア抑留者、慰安婦問題等の戦後補償問題等に関して、米国の議会関係者、政府関係者、オピニオンリーダー、メディアの方々と率直な意見交換を行うことです。
今回は急な計画かつまた開会中の国会日程の中ということもあり、江田五月元参議院議長・立憲フォーラム顧問を団長に、藤田幸久元財務副大臣・立憲フォーラム幹事と私の3名での訪米でした。
3月30日(日)
成田空港内で3名だけでの結団式をしたあと、一路、ワシントンD.Cへ。
ワシントンD.Cに到着しましたが、冷たい小雨が出迎えてくれました。
到着後、一休みしてから、今回の訪問に協力していただいたジョージ・ワシントン大学のマイク・モチズキ教授、CAP上級フェローのグレン・フクシマさん、ポール室山さんと夕食を取りながら打合せ。
3月31日(月)
午前中は、ジム・ウェッブ元上院議員と会談。一昨年米国議会において、尖閣諸島などが日米安保条約の対象であるとして米国の責任を明記した国防授権法を成立させた立役者であります。ウェッブ元議員は、元海兵隊員でもある経験から、沖縄の普天間基地の辺野古沖への移転は難しいため代替案が必要であると主張しています。
昼には、日系米国人のノーマン・ミネタ元商務長官、元運輸長官、フロイド・モリさん、プリシラ・ウチダさんらとランチミーティングをしました。ミネタさん達は、第二次大戦中に日系人収容所に収容されましたが、ブッシュ大統領(父)の時にアメリカ政府が謝罪して、一人一人に見舞金を届ける政策転換の立役者になった人です。平成19年には、日本政府から旭日大綬章を受賞されています。
午後の最初は、国務省のナッパー日本部長との会談でした。ナッパー部長夫人は日本人であり、ご本人も日本語が堪能で、かつ韓国での勤務経験もあるため、日韓両国の関係改善を心から念じられています。日韓首脳会談の実現のためには日本側の努力も必要であり、アメリカとしては、日韓も日中も良好な関係を築いてほしいと願っていると強調されていました。
次に、女性議員であるヒロノ上院議員と懇談しました。普天間基地問題に関して、沖縄の民意を尊重すべきだと仰っていました。
そのあと日系人記念碑を訪ねました。戦争中に日系人が米国のために戦ったことを讃え、ミネタさん達の名前が刻まれていました。1988年には立法により、収容された日系人に対し国家としてお詫びをし、賠償金を支払いました。
夜は、ワシントンD.C駐在の日本人特派員の皆さんと、中華料理で夕食懇談しました。いろいろな事柄について、幅広く懇談ができました。
4月1日(月)
まず、議会調査局のスタッフ3名と英語で朝食懇談会を行いました。今年2月に、約国参拝や歴史認識などの安倍政治などに対して厳しい内容の報告書をまとめた方たちで、米国議会に影響力を持つ専門家です。話題は歴史認識から東アジア情勢まで多岐にわたり、有益でした。
次に、この日のメイン行事となるジョージ・ワシントン大学での講演で、江田五月さんが、立憲フォーラムを代表して英語でスピーチされました。ジョージ・ワシントン大学での講演は、金大中(後に大統領に)氏やレーガン(大統領現職時)氏も行った、大変権威あるものとのことです。
江田さんの講演では、現在の安倍政権の下で起こっている近隣諸国との摩擦や国内の世論などの現状を紹介し、その上で、立憲主義の重要性と戦後日本の基本である平和憲法、近隣諸国を含めた世界との協調関係の重要性、戦後処理問題への積極的対応などについて講演しました。次いで、藤田さんが米国人元捕虜の招へい事業などについて、さらに私が日米関係重視の立場を協調するスピーチを行いました。その後の質疑応答では、聴衆の政府関係者や日系企業の方たちから活発な質問が出ました。
午後には、ホワイトハウスの中の国家安全保障会議(NSC)のレイモンド・グリーン日本部長を訪問し懇談。グリーン日本部長は今回のオバマ大統領訪日の担当者という人物です。日米韓首脳会談の評価などについて、意見交換しました。
この日の最後は、プレスセンターで邦人記者の方たちに記者会見をして、一日を終了しました。
4月2日(水)
滞在3日目の最初は、メーザブ・カーネギー研究所所長との会談でした。メーザブさんは、米国原子力規制委員会(NRC)の元委員長であり、我が国の原子力規制委員会の国際アドバイザーの一人でもあります。福島原発事故の汚染水処理や再稼働などについて意見交換しました。
引き続いて、ヤツコ元NRC委員長とも会談しました。ヤツコ氏は、3.11の福島原発事故当時にNRC委員長の立場にあった方で、様々な支援をして下さったとのこと。今の体制での原発再稼働推進に対して慎重な見方をしていました。
4月3日(木)
訪米最終日です。
まず、下院議員20名との朝食会に出席しました。党派を超えた勉強会を行っているグループで、藤田さんがこのグループの日本側メンバーであるというご縁で参加させてもらいました。
その後、ライシャワー・センターのケント・カルダー教授と会談しました。今回の訪米でいろいろとアドバイスをいただいた方です。
会談後、ダレス国際空港に向かい、日本に戻る飛行機に搭乗し、4泊の訪米が終了しました。米国の政府関係者、議会関係者、マスコミ関係者など、多くの方々と懇談し、交流することが出来ました。歴史修正主義からの観点ではなく、日本の歴史を直視した上で、米国や近隣諸国と深いところで結びついた友好関係を構築することが、アジア地域の平和と安定に繋がることを再度確信できました。
今回の経験を、立憲フォーラム内で共有し、立憲フォーラムを含めた国会内外での活動に活かしていきます。